1. 概要と病態
脊椎圧迫骨折は、椎体がつぶれるように変形する骨折で、特に高齢者や骨粗鬆症患者に多く見られます。多くは胸腰椎移行部(Th12〜L2)に発生します。
2. 診断
- 症状: 突然の背部痛、運動時の増悪、身長の低下
- 画像検査:
- X線: 骨折部の楔状変形を確認
- MRI: 急性期病変(T2高信号、STIR高信号)の評価
- CT: 骨折形態や脊柱管狭窄の確認
3. 治療方法
(1) 保存療法(多くの安定型骨折で第一選択)
- 安静: 急性期は疼痛軽減のため臥床を基本とする
- 装具療法: 経皮的体幹装具(TLSOなど)で体幹の固定を行い、患部への負担を軽減
- 薬物療法:
- 鎮痛薬(NSAIDs、アセトアミノフェン)
- 骨粗鬆症治療薬(ビスホスホネート、デノスマブ、SERMなど)
- リハビリ: 疼痛軽快後に体幹筋強化や歩行訓練を開始
(2) 手術療法(高度な疼痛や神経症状、進行性変形時に検討)
- 椎体形成術(Balloon Kyphoplasty): 椎体にバルーンを挿入しセメントで補強する低侵襲手術
- 椎体後方固定術: 多椎間にわたりスクリューとロッドで固定する方法
4. 合併症
- 骨癒合不良や偽関節形成
- 隣接椎体骨折(Adjacent Segment Disease)
- 慢性疼痛症候群
5. 予防と再発防止
- 骨粗鬆症管理: ビタミンD、カルシウム摂取、運動療法
- 転倒予防: バランストレーニングや生活環境の整備
まとめ
脊椎圧迫骨折の治療は、病態や患者の全身状態を考慮し、保存療法から手術療法まで適切に選択することが重要です。医学生としては、臨床推論の流れや各治療の適応をしっかりと理解しておきましょう。
脊椎圧迫骨折ってのは整形外科医にとってはありふれた疾患だけど「釣りはフナに始まり、フナに終わる」 という格言と同様に脊椎圧迫骨折には整形外科の投薬などの保存療法、手術療法などの全てのエッセンスが詰まっている。
どれだけ担当医がその患者の未来を予想して治療、指導できるかに患者の予後が掛かってくる。
おわり。