腰椎椎間板ヘルニア:病態・診断・治療【医学生向け】

整形外科学

1. 病態生理

腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板の線維輪が破綻し、髄核が後方または後側方に突出することで神経根を圧迫する疾患です。主にL4/L5、L5/S1レベルで発生します。

2. 原因

  • 加齢による椎間板の退行変性
  • 重労働やスポーツなどによる反復動作
  • 外傷や姿勢不良による負荷

3. 臨床症状

  • 腰痛: 初期症状として出現
  • 下肢痛(坐骨神経痛): 圧迫部位に応じてL4、L5、S1神経根支配領域に放散
  • 知覚障害: 神経根支配領域の感覚低下
  • 筋力低下: 圧迫された神経根支配筋の筋力低下
  • 腱反射異常: L4(膝蓋腱反射)やS1(アキレス腱反射)の減弱

4. 診断

  • 身体所見: SLRT(Straight Leg Raising Test)陽性
  • 画像検査: MRIが最も有用で、突出したヘルニアと神経圧迫を可視化可能
  • 神経学的検査: 症状と一致する神経根障害を確認

5. 治療

  • 保存療法: 初期は安静、鎮痛薬(NSAIDs)、神経ブロック、理学療法
  • 手術療法: 馬尾症候群や高度な神経障害例では椎弓切除術やヘルニア摘出術を検討

6. 合併症と予後

  • 馬尾症候群: 尿閉や肛門周囲の感覚障害は緊急手術が必要
  • 保存療法に反応する例が多いが、再発する可能性あり

まとめ

腰椎椎間板ヘルニアは医学生が臨床で頻繁に遭遇する疾患です。病態生理を理解し、適切な診察・診断スキルを身につけることが重要です。

結局一番重要なことは画像所見よりも神経所見があるかどうか。

若年層の大きく突出した椎間板ヘルニアは意外と早期に治ることが多い。

神経学的所見で重要なのはtension signと筋力低下。

おわり。